健康と資産を蝕む住宅暗黒時代

日本の家は、住むと病気になる

激増するシックハウス症候群

ここ数年の日本の住宅をめぐる問題の中で最も大きな関心を集めたものが「シックハウス症候群」でしょう。

シックハウス症候群とは、新築や改築直後の住宅に入居した時に、目がチカチカしたり、吐き気がしたりする現代病。合板、壁紙、床材の接着剤などに含まれるホルムアルデビドなど揮発性の有機化合物が空気中に放散されるのが原因とされています。」

人間は一日に30kg以上もの空気を体内に取り入れていますが、そこに有害な物質が混ざっているとしたらどうでしょう。確実に心身が蝕まれるはずです。しかも良い空気と悪い空気を区別して吸うわけにはいきません。そうした事態が実際に家の中で過ごすだけで引き起こされるのですから、シックハウス症候群は実に恐ろしいものです。

現在、シックハウス症候群の患者は100万人にも達するという説もあります。住宅メーカーに対して購入代金の返還など損害賠償を求める訴訟も多発しています。

このように、そこに暮らすだけで病気になってしまう家が、日本ではどんどん増えてきているのです。

  • 参考資料:有害物質一覧「健康住宅研究会」優先取り組みの有害6物質

  • 関連情報

    不完全な換気による健康被害

    最近では特定の化学物質を排除し「健康住宅」をうたう住宅も登場しました。また、シックハウス対策を盛り込んだ改正建築基準法が平成15年7月1日に施行されるなど、行政の取り組みも進んでいます。

    ホルムアルデヒドは室内空気汚染物質の代表的な存在で、人体に大きな悪影響を与えます。その意味で住宅の建材から発生するホルムアルデヒドを抑えることは大切です。しかし実はそれだけではシックハウス症候群の根本的な解決にはならないのです。

    というのも、家の中ではカーテンや家具、衣類、家電製品、芳香剤や洗剤など、実に様々なものに化学物質が含まれているからです。これらを家の中からすべて追放することは現実的に不可能でしょう。それよりも、住いの換気が不十分であるために化学物質が室内に閉じこめられてしまう現状の住宅の造りの方が問題なのです。

    既にご紹介したように、戦後の日本の住宅は密閉化の道を一途に進みました。今では風の通り抜けるような家はむしろまれで、十分な換気がされている家庭は少なく、室内空気に化学物質がこもってしまうばかりか、湿気を好むカビやダニが繁殖するようになってしまったのです。言うまでもなく、カビやダニの死骸はアトピー性皮膚炎、喘息などの原因の一つ。いくら化学物質の発生を抑える建材を使用しても、十分な換気を行わない限り、今の日本の住宅では不健康な室内環境になってしまうことが避けられないのです。

  • 関連情報*1:室内のホルムアルデヒド濃度と子供の喘息率
  • ヒートショックにも十分注意を

    近年、汗を上手にかけない子供が増えていると言われています。理由は簡単。生まれたときから、エアコンの効いた室内で育ったことから、自ら体温調節する機能がしっかりと育たなかったためです。

    一方、暖房についてはどうでしょう。日本の住宅は、一部の部屋だけを、限られた時間だけ暖房する形になっています。そのため冬は部屋間に寒暖の差が激しく、寒い浴室やトイレで亡くなる老人が増えてくるのです。こうした急激な寒暖差による悪影響をヒートショックと呼びます。

    本来は家族の安全を守るべき住宅が、実はそのシェルターとしての機能を十分に発揮していないばかりに、場合によっては健康被害をもたらしかねないわけです。換気や冷暖房のあり方について、根本から考え直さなければなりません。

  • 関連情報*2:浴室内死亡事故と気温
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